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松江の俳人 大谷繞石—子規・漱石・ハーン・犀星をめぐって

日野雅之(著)

内容

第24回俳人協会評論賞受賞

はじめに

序章

第一章 大谷繞石の生涯 一(生い立ちから東京時代まで)
 第一節 大谷家系図および繞石の生い立ち
 第二節 ハーン・虚子、碧梧桐との邂逅—ハーンへの義理堅さ—
 第三節 虚子、碧梧桐との別れ・講道館四天王、西郷四郎の講演—出雲弁の救い—
 第四節 正岡子規との邂逅—唯一の楽しみ—
 第五節 高田蝶衣との邂逅—教師としての手厚さ—
 第六節 夏目漱石との邂逅—繞石の人情味—

第二章 大谷繞石の生涯 二(英国留学から晩年まで)
 第一節 英国留学—ネリーとの出会い—
 第二節 室生犀星との邂逅—大詩人の若き日々—
 第三節 広島時代、晩年の繞石—小泉八雲全集翻訳の日々—

第三章 大谷繞石の俳句観
 第一節 繞石と「懸葵」—伝統を守る—
 第二節 俳句における繞石とラフカディオ・ハーン—西洋人からの示唆—
 第三節 ラフカディオ・ハーンと俳句—アイルランドとアニミズム—
 第四節 繞石の俳句観の変遷

大谷繞石略年譜

参考文献

おわりに

レビュー

松江生まれの俳人、大谷繞石(ぎょうせき)、本名、正信は、島根尋常中学校で、ラフカディオ・ハーンに学び、愛弟子としてかわいがられ、熊本転勤の折りには、生徒代表として謝辞を述べた。仙台二高では、高浜虚子、河東碧梧桐と知友となり、東大入学後には子規庵に通って俳句を学んだ。偶然にもハーンも講師として東大に転勤となり、再びハーンに学ぶことになり、ハーンの研究資料収集係となり、報酬を受けて苦学生だった繞石は卒業することが出来た。英文学の大学講師となってからは、俳句仲間として、英文学仲間として、夏目漱石と交際するようになり、金沢四高教授の時には、十代の室生犀星に俳句を指導した。

ラフカディオ・ハーン没後、小泉八雲全集の三分の一を翻訳した。また、俳句においては、俳句混迷の時代にも、終始、定型写生の基本を守った俳人でもある。

このたび、繞石の評伝『松江の俳人 大谷繞石―子規・漱石・ハーン・犀星をめぐってハーン・虚子、碧梧桐』を刊行しました。ご一読いただければ、幸甚に思います。

日野雅之